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発酵コスメの処方設計——菌種選択から品質管理まで

LEVEL 5
発酵成分の世界

LEVEL 5 発酵成分の世界

発酵化粧品の品質は、菌種の選択から始まり、培地設計、培養条件の最適化、スケールアップ、品質管理に至るまで、あらゆる工程の精密な制御によって決定されます。

1. 菌種選択——目的から逆算する

化粧品で使用される代表的な菌種として、Lactobacillus(乳酸産生、pH調整、バリア強化)、Bacillus(プロテアーゼ産生、穏やかな角質ケア)、Saccharomyces(ビタミン・アミノ酸の豊富な培養液)があります。目的とする効果から逆算して菌種を選定し、さらに株レベルでの代謝産物プロファイルを評価します。

2. 培地設計——「何を食べさせるか」が産物を決める

培地の炭素源(グルコース、スクロース、コメ由来多糖など)と窒素源(大豆ペプトン、酵母エキスなど)の組成が、代謝産物の種類と量を決定します。同じ菌種でも、培地を変えると産生されるアミノ酸組成やビタミン量が大きく変化します。

3. 培養条件の最適化

温度(25-37℃)、pH(4.0-7.0)、酸素濃度(好気/嫌気/微好気)、培養時間(24-168時間)の4つのパラメータが、発酵の方向性を制御します。乳酸菌は嫌気条件で乳酸産生を最大化し、酵母は微好気条件でビタミンB群の産生を促進します。

4. スケールアップの課題

ラボスケール(数リットル)から製造スケール(数百〜数千リットル)へのスケールアップでは、酸素移動速度(kLa)、撹拌による剪断応力、温度均一性が主要課題となります。これらの変動は代謝産物の組成に直接影響するため、スケールアップ時の工程パラメータの再最適化が必須です。

5. 品質管理——ロット間一貫性の確保

発酵産物の品質管理では、代謝産物プロファイリング(HPLC、GC-MSによる定量分析)とロット間の一貫性評価が重要です。有機酸組成、アミノ酸含量、ビタミン含量、pH、総菌数(殺菌後はゼロ確認)を各ロットで測定し、規格内であることを確認します。

発酵化粧品の品質管理フローチャート 1. 菌種選択・株同定 16S rRNA解析 / 代謝産物スクリーニング 2. 培地設計・培養条件最適化 C源/N源選定 / 温度・pH・O2・時間 3. 発酵・培養 バイオリアクター制御 / モニタリング 4. 殺菌・ろ過 加熱殺菌 or 膜ろ過 / 活性保持バランス 5. 品質管理・出荷判定 HPLC/GC-MS分析 / ロット間一貫性評価 NG → 条件再調整 過加熱 → 活性低下

6. 殺菌/ろ過と活性保持のバランス

発酵後の殺菌処理は製品安全性のために必須ですが、過度な加熱処理はビタミンやアミノ酸の分解を招きます。膜ろ過(0.22μmフィルター)による冷温殺菌は、熱に弱い有効成分を保持しつつ微生物を除去できる方法として注目されています。

KAIANの発酵コンプレックス(3種混合)の設計思想

KAIANでは、Lactobacillus(バリア強化)× Saccharomyces(栄養供給)× Bacillus(穏やかな角質ケア)の3種混合発酵コンプレックスを採用しています。

単一菌種では得られない多面的な効果を追求し、それぞれの発酵産物を最適条件で個別に培養した後、処方段階で配合比率を調整しています。「守る(バリア)× 整える(ターンオーバー)× 支える(栄養)」という3つの機能を、発酵の力で実現する設計思想です。

KAIANは、3種の発酵コンプレックスを配合したスキンケア製品を開発しています。
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